Lisk(リスク)は初のモジュラー仮想通貨として成功することを目的としています。Liskは分散型ブロックチェーンアプリを提供するパブリックブロックチェーンプラットフォームで、2016年の初めにMax KordekとOlivier BeddowsによってCryptiからフォークされました。開発資金を調達するためにICO(Initial Coin Offering)を行い580万ドルを調達し、2016年5月24日にLiskのメインネットが稼働して、主要取引所で取引できるようになりました。サイドチェーンを採用し危機管理能力を高め、JavaScriptを採用しアプリケーションプログラミングを容易にしています。イーサリアムと同様にスマートコントラクトを実装し、類似した機能を有することからイーサリアムのライバルとも言われ、2017年9月には価格が3倍ほどに上昇し、高い人気を誇っています。Liskを理解するためにはイーサリアムについての理解を深め、比較することにより、その機能や特徴をよく理解することができます。
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名称 | LISK(LSK) 通貨はLISKとすべて大文字となります |
プラットフォーム名 | Lisk(リスク) 通貨とプラットフォームでLISKとLiskを使い分けているので注意です |
承認システム | DPoS (Delegated Proof-of-Stake) |
採掘アルゴリズム | 特になし |
ブロック生成間隔 | 約10秒 ブロック生成(承認)作業のことを「マイニング(採掘)」の代わりに「フォージング(鋳造)」と呼ぶ |
発掘上限 | 今のところ特になし |
公開日 | 2016年5月24日 |
開発者 | Max Kordek,Olivier Beddows等 |
ブロックチェーンアプリケーションはイーサリアムと同様に、スマートコントラクトを実装し、実現しているのですがLiskでは差別化するために、このように呼んでいます。特徴としてはブロックチェーンアプリケーションがメインのブロックチェーンとは別の独自のサイドチェーンにあるということです。それによってビットコインなど、多くの仮想通貨が直面しているスケーラビリティ問題(拡大に伴って発生する問題)の解決に役立ちます。サイドチェーンは、アプリケーションオーナーが選んだ101のマスターノードのグループによって保護され、メインLiskネットワークと同じDPoS(Delegated-proof-of-stake)コンセンサスメカニズム(承認機能)を使用して動作します。ブロックチェーンアプリケーションは、バックエンドでNodeJS / JavaScript、フロントエンドでCSS3 / HTML5 / JavaScriptを使用して作成されています。
Liskでは「マイニング(採掘)」のことを「フォージング(鋳造)」と呼びます。ネットワーク参加者がブロックチェーンへのアプリケーションの履行結果の記録を行うことで、その正統性を保証しています。そのためLiskプラットフォームの維持にはフォージング(鋳造)が不可欠となります。その際の報酬としてもらえるLISKを、あたかもコインが鋳造されて作られる様子に例えてフォージング(鋳造)と呼んでいますが、マイニングと特に違いはありません。
Liskは、もともとBitSharesによって作成されたDPoSアルゴリズムを使用しています。Delegatedとは指名された代表者という意味です。通常のPoS(プリーフ・オブ・ステーク)との違いは、ブロックチェーンアプリケーションのオーナーの投票で決定された上位101名だけが積極的にネットワーク内でフォージングをして保護していることです。Lisk DPoSは101個のブロックで構成されたラウンドと呼ばれる一連のシステムで機能します。101人のアクティブなそれぞれのデレゲート(指名代表者)は、ラウンド内の1ブロックをランダムに割り当てられてフォージングします。ラウンドを1周するには17分かかります。デレゲート(指名代表者)が割り当てられたブロックをフォージングできない場合、そのブロックからのアクティビティはラウンドの次のブロックに移動します。
Liskの特徴はすべてのブロックチェーンアプリケーションがメインのブロックチェーンとは別の独自のサイドチェーンにあることです。メインチェーンにはサイドチェーンの情報がリンクのように記されます。これは、ビットコインなど、多くの仮想通貨が直面しているスケーラビリティ問題(拡大に伴って発生する問題)の解決に役立ちます。また、Ethereumの「THE DAO」のようにハッキングを受けた場合に、ハッキングを受けたサイドチェーンだけを切り離すこともできます。
ブロックチェーンアプリケーションとはスマートコントラクトを実装することでブロックチェーン上にプログラムできるアプリケーションのことです。スマートコントラクトとは執行条件と契約内容を事前に定義しておき、条件に合致したイベントが発生すると自動執行する仕組みです。と、これは非常に難しいのですが、よく自動販売機に例えられます。
100円を入れる→好きな飲み物を選ぶ→好きなジュースを購入できる
と、一度仕組みと箱を作ってしまえば取引が容易になります。これはアナログの非常に単純な例ですが、このような仕組みをデジタルなブロックチェーン上に構築し、音楽、不動産、金融など複雑な契約を仲介者なしで自動で行える仕組みと考えていただくと分かりやすいかもしれません。多くのコインがプラットフォームとしてイーサリアムを利用する理由がこのスマートコントラクトにありますが、ほぼ同様の機能を持つはずのLiskのブロックチェーンアプリケーションを採用した企業やICOについては調べても出てきませんでした。
LISKは2016年5月に誕生して、しばらくは1LSK=10~20円を推移していましたが、2017年3月ごろから徐々に価格を上げていきました。2017年5月終わりから一気に高騰し始め、6月には300円と400円の価格を推移。そして2017年の8月後半には800円台を付けました。その後ビットコインの下落とともに落ち着いていますが2017年9月末現在、市場規模では14位、価格は600-700円台と力強さを見せています。これは12月のSDK(開発者用ツール)配布の知らせ、インドの仮想通貨取引所での取り扱い決定、そしてアジア各国でのMeetupイベント、バージョン1.0.0への更新等を控えていることから、盛り上がりを見せているものと思われます。
Liskは2016年3月に行われたクラウドセールでマイクロソフトから14000ビットコインの一方でマイクロソフトはBlockchain as a Service(BaaS)と称して Azure イーサリアム ブロックチェーン ソリューションとして提供しています。私にはLiskよりイーサリアムを推しているように見えます(笑)。また、イーサリアム企業連合(Enterprise Ethereum Alliance)は150社を超え、世界の大企業であるインテル、クレディ・スイス、トヨタ、MUFG、IBM、JPモルガン、Microsoft、MasterCard、などが名を連ねていますイーサリアムのプラットフォームを使っていこうという企業はさらに増えていますので、LISKの価値が上がるかどうかは別として、少なくともブロックチェーンプラットフォームとして、Liskが巻き返すのはなかなか厳しいのではないかと予想しています。
Lisk | 比較対象 | イーサリアム |
DPoS | 承認アルゴリズム | PoW(最終的にPoSに切り替える予定です) |
10秒 | ブロック生成時間 | 15秒 |
フォージング(鋳造) | ブロック生成(承認)作業の呼び方 | マイニング(採掘) |
NodeJS | プラットフォームプログラミング言語 | Go,C++,JavaScript,Java |
バックエンドではNodeJS / JavaScript フロントエンドではCSS3 / HTML5 / JavaScript |
アプリケーションプログラミング言語 |
バックエンド 無し フロントエンドでは Solidity |
ブロックチェーンアプリケーション(DApps) | ←どちらもスマートコントラクトを実装した分散型ブロックチェーンアプリのプラットフォームだが呼び方が違う→ |
スマートコントラクト+DApps |
サイドチェーン |
アプリケーションの場所 |
メインチェーン(現在は) |
アプリケーションに問題がある場合はチェーンにのみ含まれますが、修正するにはハードフォークが必要です。 | エラー処理 |
アプリケーションはメインチェーン上の仮想マシン(VM)で実行されるため、エラーが発生するとトランザクション料金は無駄になりますが、仮想マシンにバグがない限り仮想マシン内で処理されます。 |
現在仮想マシンはありませんが、開発中です | アプリケーション仮想マシン(VM) |
イーサリアム仮想マシン(EVM)で実行されます。 |
公式ページにて採用企業等は確認できず | プラットフォーム採用企業 |
インテル、クレディ・スイス、トヨタ、MUFG、IBM、JPモルガン、Microsoft、MasterCardなど名だたる大企業150社を超える、イーサリアム企業連合 |
分散型ブロックチェーンアプリのプラットフォームとなりうる物を主なライバルとして上げています。