Counterparty(XCP)とは

カウンターパーティは通常のビットコイン取引の「余白に書き込む」ことによりビットコインの機能を拡張するものであり、ビットコインだけでは不可能な機能を付加したものです。中でもトークン発行プラットフォームとしての機能が有名です。誰でも自分の仮想通貨を簡単に発行し、独自の経済圏を形成できることからその機能により、Storj、GetGems、SwarmなどがCounterparty上で作成したトークンを使用し、資金調達を行いました。カウンターパーティとは日本語で「取引相手」という意味で、その名の通り多くのカウンターパーティアセットの取引できる取引所(DEX)が充実しています。2015年くらいまでは人気のあったプラットフォーム仮想通貨でしたが、2017年10月現在では多くのライバルや、新機能を持った仮想通貨に押され、市場規模140位と低調に推移しています。

基本情報

アイコン、ロゴ CounterpartyロゴXCPロゴ
プラットフォーム名称 Counterparty(カウンターパーティ)
ネイティブ通貨 XCP
承認システム ビットコインのブロックチェーンを使用するため独自のブロックチェーンを持たない。取引が行われた際は通常ビットコインマイナーへの支払いが生じる。(ビットコインに準ずる)
採掘アルゴリズム 同上
ブロック生成間隔 同上
発行上限 2,648,755XCP
公開日 2014年1月2日

詳細

ビットコイン2.0の先駆け

ビットコイン2.0とは、ブロックチェーン技術などを応用して、通貨以外の役割・機能を持たすことを主目的とした技術・プロジェクトのことです。2017年においては独自のブロックチェーンを利用する物(イーサリアム、NEM、Rippleなどそのほか多く)が主流となっていますが、2013年-2014年頃にはOmniなどのビットコインのブロックチェーンを利用するプラットフォーム型仮想通貨がいくつか誕生しました。

カウンターパーティプロトコル

カウンターパーティプロトコルはオープンソースとなっています。ユーザーによるあらゆる種類のデジタルトークンの作成とトレードが可能なだけでなく、カウンターパーティは特定の電子的契約である、スマートコントラクトを記述し、ビットコインブロックチェーン上で実行することを可能としてます。ビットコインの分散型台帳ネットワークとカウンターパーティのビルトインのスクリプト言語を利用することにより、現実世界の契約をコードに変換することができ、仲介の必要なしに自動実行されることが出来ます。

ビットコインのブロックチェーンを利用することの利点と欠点

ビットコインの取引データに追加の情報を書き込むことにより、ビットコインのブロックチェーン上のプラットフォームを実現しています。そのため、最も利用者が多く採掘速度の大きい(セキュリティ的に安定している)仮想通貨であるビットコインネットワークのセキュリティをそのまま利用できる、といった利点もありますが、ビットコインのプロトコルにより送金の承認に約10分かかるなどカウンターパーティの機能に制約が生じるといった欠点も考えられます。ビットコインを利用しているため、送金等に小額のビットコインがかかるほか、通貨発行等の一部の機能には、スパム防止のため基軸通貨のXCPが少額必要となります。また、たびたび起こるビットコインのハードフォークによってビットコインブロックチェーンへの信頼が揺らいでいるという問題点も生じています。

ビットコインを燃やして生まれたネイティブ通貨 XCP(Proof of Burn)

XCPはビットコインを「バーンする」(ビットコインをXCPと交換に消費不可能なアドレス『1CounterpartyXXXXXXXXXXXXXXXUWLpVr』に送って、それら全てのBTCをアクセス不可能にする)ことにより作成されました。これは通貨の均一で公正な配分を確保するためのものです。2014年1月に、2100BTC以上がバーンされ約260万XCPが作成されました。XCPは日本ではZaifなど複数の 取引所で購入することが出来ます。

Proof of Burnによって利用不可能になったBTCとそのアドレス

XCPの利用

XCPはBTCの使用が技術的に可能でない所で機能性を提供するために用いられています。例えば、主に新しい独資通貨(トークン)の発行、スマートコントラクトの実行に使われます。また、XCPはカウンターパーティプロトコルに対する出資分を表すものであり、コミュニティによる変更の決定の際における投票通貨ともなります。新しいトークン発行時には0.5XCPが必要になります。使用されたXCPは「バーン」(燃やす)され使用不可能な状態になります。 これは基本的にスパム対策で、誰かが大量のトークン名をコストなしで一気に登録するのを防ぐためです。Counterpartyのトークン名はドメインのように一度とったら自分のものになり、例えばHORIEMONCARDというトークン名を他の人が勝手に使うことはできません。

カウンターパーティを利用した独自トークンの作成、とその用途

カスタムカウンターパーティトークンは幅広い目的に利用することが出来ます、Storj、GetGems、Spells of GenesisなどがCounterparty上で作成したトークンを使用し、資金調達を行いました。XCPをはじめPepe CashなどいくつかのカスタムカウンターパーティトークンはZaifにおいても取り扱いがあるため日本人にも馴染みがあります。また2016年3月にはホリエモンもHORIEMON CARDという名のアセットを作成したことで話題となりました。

トークンの利用例

  • クラウドファンディングや投票を実施する(Storj、Wood Sharesなど)
  • 製品や個人ブランドを表す(ホリエモンカード(HORIEMONCARD)など)
  • 一種の「ブロックチェーンドメイン名」として(Webドメイン同様、早い者勝ちとなる)
  • 認証トークンとして(Triggerなど)
  • ゲーム内のカード等、デジタルグッズを表す(Spells of GenesisのBCY、Pepe cashなど)
  • 現実世界の商品やサービスのプロキシ(例えば紙やバイオ燃料と交換可能なトークン)として
  • 貴重な時間やリソースを提供したことへの報酬として機能する 

  • Counterpartyトークンの市場規模

カウンターパーティ対応のウォレットとセキュリティ

カウンターパーティでは現在、3つの異なるタイプのウォレットがありますーデスクトップ型のウェブウォレット、モバイルウォレット、そしてChromeの拡張機能としてのウォレットです。これらのウォレットは、カウンターパーティの参照クライアントの全機能を提供しています。カウンターパーティウォレットを利用する場合、全てのトランザクションはデバイス上で署名され、秘密鍵がサーバーに保管されることはありません。サーバーに送られる全ての情報は最大限のセキュリティのためまずウォレットによって暗号化され、セッションの痕跡はログアウト時に全て消去されます。


Chrome拡張のウォレット

ウォレットの一般的な機能

  • ビットコインブロックチェーン上での新しいトークンの作成と管理
  • BTC、XCP、またはその他のあらゆるカウンターパーティ通貨で利益を分配する
  • 完全にP2Pで、BTCをXCPやあらゆるカウンターパーティトークンに対してトレード
  • マルチシグアドレスを作成および管理
  • アーモリーを利用してトークンをオフラインで保管
  • ビットコインネットワークへデータフィードをブロードキャスト

ウェブウォレットにはDEX(取引所)機能もありトレードなどをすることもできますが、後述する利便性が良いDEXで取引するのが一般的です

アセット取引所 (DEX,Decentralized Exchange,非中央集権型取引所)

カウンターパーティアセットの交換はDEXを使って容易に取引することができます。

カウンターパーティ財団

独立した非営利組織。カウンターパーティープラットフォームの成長とオープンな開発の推進に取り組んでいる。イノベーション、分散化、標準化、オープン化、そしてコミュニティの参画を推進することによってカウンターパーティーのエコシステムの未来を力強いものにすることを使命としています。

Monaparty(モナパーティ)

モナをお祝いするパーティをしよう!とかそういうイベントではありません。(笑)

2017年10月現在Counterpartyの技術を応用したプロジェクト『Monaparty』が密かに進んでいます。ざっくり言うとMonacoinのブロックチェーンを使った経済圏(エコシステム)を作ろうとするもので、そのトークン経済圏を 『Monaparty』と呼んでいます。上述したビットコインとCounterpartyの関係とほぼ同じと思っていただければと思います。Monapartyで使われる基軸トークンはXMPとなっています。

シンプルに示すと。

BTC(Burn、燃やす)→XCP Counterparty経済圏/BTCブロックチェーン上

MONA(Burn、燃やす)→XMP Monaparty経済圏/Monacoinブロックチェーン上

ということです。

ライバルプロジェクト、コインについて

プラットフォーム型仮想通貨はすべてライバルと言えそうですが(特にイーサリアム)、ここでは同時期に現れたビットコインのブロックチェーンを利用するプラットフォーム型仮想通貨をライバルとして挙げます。

  • Omni(OMNI)
    Counterpartyよりやや早く登場したOmniは類似したトークン発行機能など機能を持っています。MadeSafe、Tetherなどのプラットフォームとして有名です。DEXはCounterpartyのほうが使いやすいと言われています。

著者の視点 プラットフォームの移り変わり

2017年後半にはICOは独自のブロックチェーンや、フォークしたものを除いてはイーサリアムのトークンを発行して行うものが主流となっており、2016年まで人気であったOmniやカウンターパーティを利用して行うプロジェクトはほとんど見かけなくなりました。前述したビットコインのブロックチェーンを使うことによって起こる欠点も影響していると思われます。Storj、Swarmは2017年にプラットフォームをCounterpartyからイーサリアムへ移行しています。一つのプラットフォームの時代の移り変わりが見て取れます。しかしながらカウンターパーティアセットの発行(独自通貨など)は毎日のように行われており、気軽に独自のトークンを発行し、トレードするプラットフォームとしての役割を果たしています。2017年に日本で誕生したVALUも個人が発行したVALUという独自通貨の取引を行うプラットフォームであることからCounterpartyの機能を限定し、分かりやすく、使いやすく発展、拡張させたサービスとも言えます。このように様々なサービスが形を変えてたくさん生まれては消えていくことになって行くのだと思います。


著者 りゅうり