Einsteinium(EMC2)とは

Einsteinium(アインシュタニウム、アインスタニアムなどとも発音する)とはビットコイン(Bitcoin)のような通貨型の仮想通貨であり、科学的研究に資金を提供し、最先端のITおよび暗号技術関連プロジェクトを支援するという目標を持っています。コミュニティメンバーが、どの研究が価値のある科学研究プロジェクトであり、寄付を与えるべきかを投票し、その結果に応じて公的非営利団体アインシュタニウム財団を通じて寄付が行われる形となっています。マイニングされた各ブロックの2.5%がアインシュタニウム財団に、2%が科学プロジェクトに、0.5%が寄付や、マーケティングへ利用され、残りがマイナーの報酬となります。余談ですが一般的にはEinsteinium(アインシュタニウム)と言えば、アルベルト アインシュタインの名を冠した原子番号99番の人工元素です。

基本情報

アイコン
名称 Einsteinium(EMC2) 
承認システム PoW (Proof-Of-Work)、Premine(事前採掘)無し
採掘アルゴリズム Scrypt
ブロック生成間隔 約60秒
発掘上限 299,792,458(730Epoch後)
公開日 2014年3月1日
拠点 カナダのモントリオール

詳細

アインシュタニウム財団とは

アインシュタニウム(EMC2)は、2014年3月1日にアインシュタニウム財団によってリリースされました。アインシュタニウム財団は、2014年4月7日にNPO法人番号882658-4でモントリオールに登録された公的非営利団体となっています。財団は、仮想通貨界に登録される科学研究に専念する最初の非営利団体であることを通じて、あらゆる種類の将来の画期的な科学プロジェクトを支援するために、世界中の他のNPOとの長期的な関係を築くことを目標としています。また、多くの資金を受け取るために助成金の受益者を有効にするプロセスにクラウドファンディングを統合しています。

EPOCHSとは

アインシュタニウムはマイニングについてEpochという36000ブロックを1つにまとめた単位を使っています。Epochとは英語で「重要な出来事」という意味があります。1つのEpoch期間を約25日間とすることを目標としており、Proof of Workによるマイニングは730Epochsを掘り終えたら終わります。

Premine(事前採掘)されていない

Premine(事前採掘)は開発者がコインの公開前に一定量を採掘しておき、通常はコインが取引所で扱われるようになったタイミングで売却し、開発資金などに充てる目的で行われます。マイナーや利用者には害でしかないため、あまりにもPremineの量が多いとマイナーから嫌われることもあり、事前採掘すべきかは悩みの種です。アインシュタニウムは多くのマイナーを得るためにPremineしないことを選択しました。

ワームホールとは

ワームホールは、各Epochと最後の180ブロックでランダムに発生し、ブロックごとの報酬が2973EMC2となるという、いわゆるボーナスイベントのようなものです。半減期によって報酬が減ってしまうことから長期のマイナーに報いるためのアイデアとなっています。2017年10月にハードフォークしワームホールが無くなる予定です。相対性理論を発表し、ブラックホールやワームホールの存在を予言したアインシュタインの名を冠した仮想通貨ならではのイベントです。

半減期

アインシュタニウムはほかの多くのProof of Workマイニングを採用する仮想通貨と同様に報酬が半減する『半減期』が存在します。

Epochs、ブロック、報酬の関係の図 公式Webサイトより

半減期のカウントダウンの様子 公式Twitterより

価格の推移

アインシュタニウムは2017年1月1日から8月31日までの期間で約30倍まで価格が高騰し、同期間に約30倍のイーサリアム、約20倍のリップルをしのぐほどの上昇を見せました。

ワームホールイベントの詳細

第2Epochから第10までの各Epochの間に、ランダムなワームホールイベントが発生します。ワームホールイベントは180ブロックで、1ブロックにつき2973EMC2の報酬があります。これは前述した半減期によって減っていった報酬にかかわらずもらえる固定値報酬であり、そのブロックの標準報酬を置き換えます。ワームホールイベントは無作為に生成され、Epoch中はいつでも開始できますが、常に180ブロックになります。

ワームホールイベントの結果

1st Epoch 該当なし
2nd Epoch Blocks 42206 - 42386
3rd-8th Epoch 該当なし
9th Epoch Blocks 307569 - 307748
10th Epoch 該当なし
11th Epoch Blocks 345963 - 346142
12th Epoch Blocks 377684 - 377863
14th Epoch Blocks 471262 - 471441

ハードフォークによるワームホールの停止

公式Twitterにてワームホールの機能を削除し、総コインの供給を減らすコードの変更(ハードフォーク)を2017年10月6日に行うアナウンスが行われました

ハードフォークの延期

2017年10月3日に、当初2017年10月6日に行う予定だったハードフォークを延期する旨のアナウンスが行われました。公式ページによれば、ワームホールの機能を削除し、総コインの供給を減らすコードの変更は、リリースの準備が整いましたが、この変更は、コーディングの点では簡単ですが、テストとデプロイメント(展開)に関しては複雑です。EMC2コインは、最大の取引所やサードパーティのサービスの一部で利用できるため、それらすべてが同じ期間内に更新する必要があります。アップグレードのためにメンテナンスウィンドウを定義する際に、彼らと協力して作業しています。同時に、ブロックチェーンの大規模なテストも行っています。最後のプッシュ前に、最終テスト結果と取引所からの確認が必要です。リリース目前ではありますが、10月6日に予定されているハードフォークは、ネットワークセキュリティと取引所の同時性を保証するために再スケジューリングされなければなりません。次のターゲットはブロック1640530で、おそらく10月25日に発生します。とのアナウンスがされ、その影響で価格が大きく下落しました。

ライバルプロジェクト、コインについて

科学貢献型仮想通貨を主なライバルとして上げています。

  • CureCoin
    スタンフォード大学のFolding at Home DCNとStake(PoS)のセキュリティモデルを活用し、家庭のPCなどの様々なコンピュータの演算処理を科学研究に提供しその報酬として得ることのできる仮想通貨です。
  • Gridcoin
    カリフォルニア大学バークレーの構築したネットワークコンピューティングのためのBOINCをPoR(Proof of Research)セキュリティモデルで活用し、家庭のPCなどの様々なコンピュータの演算処理を科学研究に提供しその報酬として得ることのできる仮想通貨です。

著者 りゅうり